お金が増える仕組み大解説の記事について紹介いたします。

CHECKこの記事の要点

  • 1

    他人事ではない!インフレや円安とは?

  • 2

    インフレ・円安が家計や資産に与える影響!

  • 3

    インフレ・円安時代の資産防衛術!

目次

1 物価が上がるインフレは、お金の価値が下がること

ものの値段(物価)が値上がりすることをインフレ(インフレーション)といいます。最近よく「○○社の商品が値上げ」といったニュースを耳にする方も多いでしょう。

お金の価値は、物価と一緒に変化します。
たとえば、100円のアイスクリームが200円になったとしたら、アイスクリームの価格は2倍に上昇したことになります。これをお金の側から見ると、これまで100円で買うことができたアイスクリームが200円出さなければ買えなくなってしまったのですから、100円の価値が半分になってしまった、と考えることができます。

物価の上昇は時間をかけて起こります。たとえば1991年時点で1kgあたり202円だった小麦粉は、2022年3月時点で304円に(総務省「小売物価統計調査」)。この20年ほどで約1.5倍に値上がりしています。いいかえれば、お金の価値が下がっているのです。

もし、預貯金にきちんと利息がついて、物価の上昇率(インフレ率)以上にお金がもらえていれば、預貯金は目減りしません。しかし、実際にはそんな利息はつきません。大手銀行の預金金利は年0.001%(2022年4月時点)だからです。

たとえば、1個100円のりんごがインフレによって年1%値上がりしたとすると、5年後には105円になります。しかし、100円を5年間預貯金に回していても、金利が年0.001%ならお金は100円のままですから、りんごは買えなくなってしまいます。

つまり、預貯金でお金を持っているだけだと、お金の価値が目減りしてしまう、というわけで

2 為替レートが円安になると、外貨建て資産が値上がりする

日本では円、米国ではドル、欧州ではユーロという具合に、国・地域ごとに利用されている通貨は異なります。海外旅行や貿易などで、通貨を交換するには、2つの通貨をどんな割合で交換するかという交換比率が必要です。これを為替レートといいます。

為替レートとは平日24時間絶えず変動しています。円高・円安という言葉もよく聞くと思いますが、これは海外の通貨から見て日本円の価値が高くなったか安くなったかを表す言葉です。

たとえば、1ドル=100円だった為替レートが、1ドル=90円になったとしたら、

=1ドルで交換できる円が100円から90円に減った
→円(の価値)が高くなった
→「円高(ドル安)」になった

ことを表します。逆に1ドル=110円になったとしたら、

=1ドルで交換できる円が100円から110円に増えた
→円(の価値)が安くなった
→「円安(ドル高)」になった

ことを表すのです。

このところ為替レートは円安の方向に動いています。たとえば、日本円と米ドルの為替レートは次のようになっています。

●米ドル/円の為替レート(2021年1月〜2022年4月14日)

Investing.comのデータをもとに(株)Money&You作成
2021年1月は1ドル=102円台でしたが、そこから徐々に円安が進み、わずか1年3か月後の2022年4月には125円台に。23円もの円安になっているのです。特にこのところは、ドル以外の通貨でも円安が進んでいます。為替レートが円安になると、日本が輸入に頼る金属や原油、食料品などの価格や輸入コストが値上がりしてしまうデメリットがあります。つまり、円安もインフレの大きな要因となってしまうのです。

しかし、円安にはメリットもあります。円安になると外貨建ての資産(円以外のお金で売買などが行われる資産)の価値が高まります。

たとえば、1ドル=100円のときに1万円をドルに両替して、100ドルの米国株を買ったとします(手数料は考慮しません)。もし、米国株の値動きがないまま、為替レートが1ドル=110円の円安になってから売り、ドルを円に両替すると、手元の円は1万1000円になります。これを「為替差益」といいます。

したがって、外貨建て資産を持っている場合、円安になることで為替差益を得る期待ができます。そのうえ、投資先が値上がりすれば、値上がり益も手に入れられます。

3 インフレ・円安からお金を守るには?

インフレによる目減りからお金を守るには、インフレ率より高い利回りでお金を増やすことが必要です。すでにお話ししたように、預貯金ではほとんどお金は増えないので、投資を行う必要があります。また、今後さらに円安が進んだとしても、外貨建て資産を持っていれば、円安が進むにつれて為替差益を得ることができるでしょう。

ここでは、インフレ対策・円安対策になる投資先を簡単に紹介します。

●インフレ対策になる投資先

・日本株、米国株 会社がお金を集めるために発行する株を買ったり売ったりして利益を得る投資が株式投資です。日本株を購入すれば、株の値上がり益のほか、会社の利益の一部が還元される配当金、株主に対するプレゼントのような株主優待が受け取れる可能性があります。
また、世界経済の中心、米国株も日本にいながら購入可能。GAFAM(グーグル、アマゾン、メタ(旧フェイスブック)、アップル、マイクロソフト)をはじめとする世界の名だたる会社に投資できます。
インフレは、中長期で見れば会社の業績(売上や利益)を押し上げる要因です。ですから、インフレ対策に向いていると考えられます。

・投資信託・ETF・REIT
投資信託は、投資家から集めたお金を専門家が代わりに運用してくれる商品。運用で利益が出れば、その利益の一部を受け取ることができます。またETFは市場で購入できる投資信託(上場投資信託)、REITは不動産に投資する投資信託(不動産投資信託)です。
投資信託は1本で数十から数百の投資先に投資しています。「株のみ」「債券のみ」という具合に単一の資産に投資するものもあれば、複数の資産に投資するものもあります。また、投資先の国も商品によりいろいろあります。
投資信託を購入すれば、手軽に幅広くさまざまな資産に投資でき、資産を堅実に増やしていく期待ができます。

・不動産投資
不動産投資は、ワンルームマンションやアパートなどの不動産を購入し、家賃を受け取ったり売却益を得たりする投資です。入居者がいれば、安定した家賃収入を受け取り続けることができるのがメリット。また、金融機関でローンを組んで始められるのもメリットです。 インフレが起き、物価が上がると、不動産の物件価格や家賃も上がる期待ができます。また、インフレでお金の価値が減ると、ローンの負担も相対的に目減りします。

●円安対策になる投資先

・海外資産(株・債券)
上でも紹介したとおり、外国株や外貨建て債券など、外貨建ての投資先に投資していれば、円安になった際に為替差益を得る期待ができます。また、米国をはじめ、海外には日本よりも高い経済成長が期待できる国があります。投資を続けていれば、経済成長による値上がり益も期待できるでしょう。

・外貨建て保険も選択肢の一つ
外貨建て保険は、保険料の支払いや保険金の受け取りを外貨で行う保険です。文字どおり「外貨建て」ですので、保険料の支払いや保険金の受け取りのとき(円と外貨を両替するとき)に、為替レートの影響を受けます。為替レートが大きく円安になる場合には、為替差益を受け取れる可能性があります。

インフレ・円安と、インフレ対策・円安対策になる投資先を紹介してきました。大切なのは、お金を複数の投資先に分散させること。いくら円安になりそうだからといって、すべての資産を海外資産にするのは極端です。バランスよくさままな投資先に投資を行い、お金を増やしていきましょう。

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筆者紹介
よりふじ・たいき
 
頼藤太希
Money&You 代表取締役
マネーコンサルタント
中央大学客員講師
ファイナンシャルプランナー(AFP)
日本証券アナリスト協会検定会員
慶應義塾大学経済学部卒業後、外資系生保にて資産運用リスク管理業務に従事。
2015年に(株)Money&Youを創業し、現職。女性向けWEBメディア「FP Cafe」や「Mocha」を運営。著書は『はじめての資産運用』『1日5分で、お金持ち』『はじめてのNISA&iDeCo』など多数。twitter→@yorifujitaiki

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