お金の価値が変わるとどうなるの?の記事について紹介いたします。

CHECKこの記事の要点

  • 1

    インフレが家計に与える影響!

  • 2

    家計を見直すコツとは?

  • 3

    専門家(FP)に相談しよう!

目次

1 インフレは今後も続く?

私たちが普段買うモノやサービス(商品)の価格が上がり、お金の価値が下がることをインフレ(インフレーション)といいます。たとえば、これまで100円で買えたりんごが倍の200円になったら、100円の価値は半分になった、と考えることができます。

基本的に好景気になるとインフレが起きるといわれています。好景気のときは、商品を買いたいという需要が、供給される商品よりも多いので、商品の価格が上がります。そして商品が売れることで企業が儲かり、働く人の給料が増え、さらに商品が売れる...といったサイクルでインフレが起こるのです。好景気の時には、給料も上がりやすいため、物の値段が上がってもそれほど気にならないかもしれません。

ところが、最近日本で起こっているインフレは、製造コストの上昇によるインフレです。新型コロナウイルスやロシアのウクライナ侵攻などをうけて、原油などの資源価格や小麦などの穀物価格、輸送コストなどが上昇したため、各社が商品価格の値上げに踏み切っています。
また、日本では急激に円安(外国の通貨からみて、日本の通貨が安くなること)が進んでいます。円安は、商品の輸出には有利なのですが、輸入にはコスト増につながるため不利です。こうしたコスト増も、商品の価格に影響します。しかも、好景気でインフレになっているわけではないので、お給料も上がりにくい状況です。

新型コロナウイルスやロシアのウクライナ侵攻の影響は、今後も長引くかもしれません。したがって、インフレが今後も続く可能性は十分にあるでしょう。

2 インフレの影響はあらゆるところに...

実際、インフレの影響はあらゆるところに出てきています。

たとえば電気代。日本は電力の大部分を火力発電に頼っているため、原油や天然ガスなどの燃料の値上がりが電気代に反映されます。東京電力の場合、2021年6月の一般的な家庭(平均モデル)の電気代は6913円でした。それが、2022年6月には8565円に。1年間で1652円上昇しています。
しばしばニュースで取り上げられるガソリン代も値上がりに。経済産業省資源エネルギー庁「給油所小売価格調査 」によると、2022年5月9日のレギュラーガソリンの小売価格の全国平均はリッター171.1円となっています。その1年前は150.6円、2年前は124.8円でしたので、この2年でどんどん値上がりしたことがわかります。

●ガソリン代の推移(2020年1月〜2022年5月9日)

経済産業省資源エネルギー庁「給油所小売価格調査」より(株)Money&You作成
身近な日用品では、ティッシュの価格も値上がり。「エリエール」の大王製紙 では2022年3月22日出荷分より15%以上の値上げ、「クリネックス」の日本製紙クラシエでも2022年4月1日から10%以上の値上げに踏み切っています。
さらに食料品も、パン、麺、油、冷凍食品、お菓子などにいたるまで値上がりしています。生活必需品がことごとく値上がりすると、家計はいっそう厳しいものになってしまいます。

3 家計の節約に取り組もう

インフレと一緒に給与も増えればいいのですが、先ほどもお話したように景気が良くてインフレになっているわけではないので、残念ながら給与は増えない状況です。また、日本人の平均給与は433万円ですが、日本は長らく低成長時代が続いており、いまだに2000年の水準(461万円)すら回復していません。ですから、生活を守るためにも、まずは家計の節約に取り組みましょう。

節約は、「金額が大きいもの」「効果が続くもの」「我慢が不要なもの」を優先するのがポイント。具体的には、次のようなものから見直しを検討しましょう。いずれも、少しの努力で費用を大きく抑えられる可能性があります。

●住居費

賃貸住まいならば、より安い部屋への引っ越しを検討。リモートワークならば、都市部に住む必要もないでしょう。また、賃料の値引き交渉も大切です。5〜8月の閑散期は借り手がつきにくいため、値引きしてくれる可能性があります。住居を買って住宅ローンを組んでいる場合は、借り換えで返済の負担を減らせないかチェックしましょう。

●電気代・ガス代

おすすめは電気とガスを同じ会社で契約すること。会社によっては「セット割」が用意されており、年間1万円以上も電気代やガス代が安くなる場合もあります。

●水道代

家の中でもっとも水を使うのがお風呂のシャワー。シャワーヘッドを節水タイプのものに変えるだけで、年5,000円〜1万円の節約につながります。

●通信費

通信費、特にスマホ代は上昇率の高い費目です。しかし大手キャリアの格安プランや格安スマホに切り替えることで月3,000円〜5,000円程度の節約ができる場合も。家族全員で切り替えれば、さらに大きく節約できます。

●自動車代

駐車場代、自動車保険、自動車税、車検代、メンテナンス費用、ガソリン代...。車には何かと費用がかかります。首都圏在住ならば、いっそ車を手放して、乗るときだけレンタカーやカーシェアリングなどで借りるほうが支出を抑えられます。地方在住で車が手放せない場合、車を買うなら中古車で十分。売るときのことも考えて、高く売れそうな車を選びましょう。

●子ども服代、雑貨代

子ども服のように使う時期が限られているものや雑貨は、メルカリなどのフリマアプリを活用して探してみましょう。定価より安く手に入りますし、使わなくなったら自分で出品して売ることもできます。

●使っていないサービス

使っていないクレジットカードやサブスク(サブスクリプション)サービスはありませんか? 年会費(月会費)を支払っているにも関わらず使っていないというのではもったいないのですが、意外と気にせず支払っていることも。もしあるなら、すぐに解約しましょう。

●バーゲンセールやまとめ買いなどにも要注意

節約になるからといって、バーゲンセールの割引やまとめ買いなどでたくさん買い込んでいませんか? いくら安かったといっても、「デザインが気に入らなくて使わなかった」「食べきれなくて捨ててしまった」というのではお金の無駄遣いです。本当に使うものだけを使う分だけ購入した方が、結果として安く済むでしょう。

4 専門家に家計の見直しを相談するのも一つの手

これからも続くと考えられるインフレ。インフレによって、さまざまな商品の価格が上がっていくでしょう。家計を見直すコツについてもお話ししてきましたが、いざ取り組むとなると、「どこから手をつけてよいかわからない」という方も少なくないのではないでしょうか。そんな場合には、専門家に家計の見直しを相談してみましょう。プロの目で今の家計をチェックしてもらうことで、どこを改善したら良いのか、具体的な改善点や改善するための手順までもわかるでしょう。また、自分だけでは気づけなかった意外な盲点が見つかるかもしれません。

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筆者紹介
 
高山一恵
Money&You 取締役
ファイナンシャルプランナー
慶應義塾大学卒業。2005年に女性向けFPオフィス、(株)エフピーウーマンを設立。10年間取締役を務めたのち、現職へ。全国で講演活動、多くのメディアで執筆活動、相談業務を行ない、女性の人生に不可欠なお金の知識を伝えている。明るく親しみやすい性格を活かした解説や講演には定評がある。著書は『はじめての資産運用』(宝島社)、『はじめてのNISA&iDeCo』(成美堂出版)、『税制優遇のおいしいいただき方』(きんざい)など多数。ファイナンシャルプランナー(CFP®)。1級FP技能士。

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